「第2話」現在すでに多重債務になってしまった人には申し訳ないが、画期的な解決法はない。

ここ10年前からは利息制限法の範囲で借りている筈だから、過払い請求の奥の手は使えない。

よって、多重債務者を救うことは無理だが、私はこの方法は反対だが身内に余裕があり借金を整理して助けたとする、その場合必ず返済したカード会社に今後は使用できないように貸出禁止のブラックの客として登録してもらうこと。

それをしておかないとどんな事情で誰が建て替え払いをしようと、翌日には甘い誘いのダイレクトメールや電話が入る。

そして多重債務に陥った人たちはそれを拒否する勇気を持っていない。すぐに借りたり、ショッピングをして再び多重債務者になるケースが極めて多いのだ。

二度目になったら絶対に助けないことだ。そこで助けると身内は預金が0になるまで助けることになる。そして自分達の老後の資金まで使い果たしてしまうという結果を迎えることになる。

基本的に多重債務者はお金では助けてはいけない。万一、どうしてもというのなら一度だけにする。

後は金額の大きさによって自己破産の道を選ぶか、まだ手に負える程度の金額ならば自分で交渉するのは難しいので弁護士か、少額なら司法書士を窓口にして金利を免除させ、元金のみを毎月一万とか二万とか支払額を決めて長期に払っていくしかない。

現段階で一社からしか借りてない人は、借入先を増やしてはいけない。一社でも借入額がいくらなのかという問題はあるが、約束を守って完済することだ。

完済する前に返済して空いた枠を使い追加の借入をしてはならない。完済したら次に本当に必要な時まで借金をしていない日々がなければならない。

貸す側の信販会社・金融機関などは〇〇キャンペーンだ、増額の月だと色々甘い言葉で誘ってくるが、本当に必要なことがあるまでは手を出してはならない。

貸す側には親切も愛情もない。あるのは担当者の数字を上げることだけだ。

キャッシングをする会社の社員と親しくなったり、慣れたりしてはならない。必要に応じて一社だけを上手に利用するならば、友人や身内に金を借りるよりあと腐れもなくいいことだと思うが、あくまでも一社のみで返済能力にあった金額のみだ。二社に手を出せば多重債務へのキップを持ったことになる。

消費のための借金はその位冷たく残酷なものだと認識しなければならない。だから、消費の為などの借金をしてはならないのだ。

だが、住宅ローンを使って家屋やマンションを買った場合は、不動産を買うのだから正しい選択と思いがちだが、給料が下がったり、あてにしていたボーナスが少なくなったりすることによってローンの返済が出来なくなることがある。

すぐに不動産を売却してしまうのが理想だが、そんなことを決心できる人はまずいない。その月の不足分を埋めるためにキャッシングしてしまう。

だから、消費のためでなくてもキャッシングとの付き合いは始まってしまう。こうなるともう多重債務者へのレールに乗ってしまったことになる。

これから始める話は住宅ローンを借りる前の心構えともいえる、基本のお金と人間の付き合いと心構えを養うものだと思ってほしい。

「第2話」貧困が玄関から入ってくると愛は窓から逃げて行く

「渡部さん、赤坂のマンションは今売れば7500万位で売れるでしょう。原価の4000万と仲介

手数料などを差し引いても、儲けは3000万以上あるでしょう。しばらく部屋を賃貸の部屋を借りて二年位様子を見た方がいいよ。もう、不動産のピークは過ぎたよ、急いだほうがいい。僕は売るべき物件はほぼ売り切ったよ」

平成二年の銀座の事務所で向かい合って座っているのは父親の後を継いだ税理士の渡部先生48歳だ。

「室井さん、もう少し待っていれば一億になると思うんだ。そこで売るつもりだ」

「だけど先生、世田谷のマンションは原価8000万位で買っているだろう、今売って9500万位だろう。これも一緒に売ってしまえば借入金を払っても4000万位の現金が残るのだからここで整理した方がいいよ」

と、かなり強く説得したが、先生は売るどころか一か月後に越後湯沢のリゾートマンションを1500万で買ってしまった。

その時から10年経った。

世田谷のマンションは4000万で売却した。赤坂のマンションは2500万で売却、越後湯沢のマンションは何と85万だった。

しかも負債は一億円ほど。自己破産をしようと知り合いの弁護士のところに行って帰りだ、と私の事務所に来た。

「自己破産なんてしたら税理士は出来ないよ。これから先生は何をして生活するの。借入金については一緒に銀行や街金と交渉してあげるから破産はやめなさい」

迷った末破産をやめ、税理士の仕事を細々と続けている。

街金とは過払い請求で対抗し、銀行とは貸す側にも責任があるだろうと闘って毎月一万の支払いと決めた。

すべての段取りが終わり食事をご馳走した時に

「先生、あの時何で売らなかったの。僕は売却してる人だから正直な意見だと思うけど」

と訊ねると、

「あの時の室井さんは馬鹿だと思ったよ。もっと持っていればもっと値段が上がるのにと思ったんだ」

と恥ずかしそうに言った。

どんな情報も適切なアドバイスも人間の欲には勝てない。そして、欲張りすぎた者はすべてを失う。

「あなたとお金の関係」

人間同士のコミュニケーションが必要なように、お金ともいい関係を築く必要がある。それがお金との付き合いだ。

個人を取り巻くお金には次の四つが挙げられる。

① 家庭内でのお金

  • 誰が働いて収入を得るか。
  • それをどう配分するか。
  • 家族の総収入でバランスのよい生活をしているか。

② 友人・知人間のお金

  • 友人・知人と金銭貸借はあるか。
  • 友人・知人の保証人になっていないか。
  • 友人・知人と共有する投資をしていないか。

③ 企業の中でのお金

  • 自分の給料は適正か。
  • 給料は今後上がるか、下がるか。
  • 会社の自社株を持っているか、今後買う予定はあるか。
  • 会社の将来性は成長するか、消滅するか。

④ 自分個人のためのお金

㈠ 独身である場合、

  • 月収で生活は出来ているか。貯金はしているか。
  • 現在、借金はあるか。カードを使いすぎていないか。
  • 親元に仕送りする必要があるか。

㈡ 結婚している場合、

  • 自分の使える小遣いはいくらか、それで間に合っているか。
  • 夫婦がお互いに内緒でキャッシングを利用したり、ローン を組んでいないか。
  • 自分達の両親に小遣いを渡しているか。介護のための費用を負担しているか。
  • 毎月貯金をしているか、生命保険に入っているか。子供が生まれたときのための準備はしているか。

ちょっと考えても最低この程度のお金との付き合いや関わり合いがある。

家族一人ひとりのお金との付き合いを考えると四人だったら四倍になる。生きていく限り続く関係だ。

それが面倒くさい、苦手だ、〇〇任せだ、などと言っていては、国際成長が10位以下になってしまった国で、自分や自分の愛する者を守っていくのは難しい。

もう安心だとか、安定した人生だ、などあり得ない。現在軌道に乗っているように見えても、いつ外れるか、止まってしまうか分からない。人生は山あり谷ありだ。その危機意識は持ち続けなければならない。

私はこう思っている。

「人間は金だけじゃ動かないが、金じゃないと動かない」

金を払えばいいんだろう、とお金で人の誇りまでも買えると思っている奴の言うことを聞くのは嫌だが、いつ手伝っても、頼まれて協力しても、手弁当で動かされるのでは納得出来ない。まるで自分が無料の使用人か便利屋のようで舐められているとしか思えない。

やはり、適正な対価はビジネスの世界以外にも考える必要のあるものだ。これを読んで、何でも金かと皮肉めいたことを言う人がいるかも知れない。

私はお金より大切なものがあることは百も承知だ。だが、現実には生活をしていくために基本となる程度のお金がなければ不便で、心が豊かになりづらいという現実があることも知っている。

シェークスピアはこう言っている。

「貧困が玄関から入って来ると、愛は窓から逃げて行く」

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