消費者金融のアコムが6期ぶりの赤字!その背景には過払い金

消費者金融市場に対してどのようなイメージがあるだろうか?高い年利を取ることによって暴利をむさぼっていると思っている人や、利用者の増加にともない収益が天井知らずと思っている人が多いかも知れないが、実はそれほど単純なものではない。

消費者金融というのは事業の中でも難しい事業だといわれていることをご存知だろうか?なぜなら消費者金融はお金がない人に対して貸し付けを行うため、いくらしっかりと審査をしていたとしても、貸し倒れリスクが付きまとう。

もちろん、歩留まりは計算して貸し付けをしているだろうが、利用者保護の法改正により、倒産する消費者金融も多い。そんな中、大手消費者金融であるアコムが赤字という報道があった。その背景にはどのような事情があるのだろうか?

消費者金融大手のアコムが赤字という現状

出展:日経新聞

消費者金融大手のアコムは、手軽かつ安全にカードローンの借入ができる上、借入方法や返済方法の利便性も高い消費者金融だ。

初めてアコムで借り入れをする場合には30日間の金利手数料無料のサービスがあるため、初回借り入れ時の敷居が低い。

その上、全国各地に配備された「むじんくん」は、利用中にドアロックがかかるため、誰にも見られずに借り入れができるというプライバシーへの配慮がなされており、利用者の気持ちを熟知したサービスを展開している。

そんなアコムは、2017年3月期の実績が721億円の赤字であることが発表された。本来は585億円の黒字となるはずが、予想の見込み金額を遥かに越える赤字額という結果となった。その背景には過払い金返還請求が影響している。

アコムのサービスは利用しやすいのか?

アコムは金利手数料が3.0%~18.0%で、最大800万円までの借入が可能だ。

申込から審査結果が出るまでは最短30分というスピード審査に対応している上、即日利用も可能であるため、必要なお金がその日のうちに手に入る。

それほど利便性が高いと、審査が厳しいのだろうと推察してしまうかも知れないが、実はアコムは並みいる大手消費者金融の中でも審査通過がしやすいことで有名だ。

さらに、消費者金融では唯一クレジットカードを発行しており、入手性の高さから、特にクレジットカードヒストリーがない人から支持を集めている。

このようにアコムのサービスは、どこを切り取っても利用しやすいサービスだといえる。にもかかわらず、アコムを赤字に陥れた過払い金請求とは一体どういうものなのだろうか?

赤字の原因の過払い金返還とは?

過払い金請求とは、払い過ぎた利息の返還を求める請求のことを指す。

借金に関する法律には上限金利が15%から20%の利息制限法と、上限金利が29.2%出資法という2つの法律が存在し、その食い違いのことをグレーゾーン金利という。

2006年の最高裁の判例で、グレーゾーン金利を認めないという趣旨の判決が下ったため、低い方の金利である利息制限法の金利が上限に一本化された。

今まで高い方のルールで金利を払い続けていた人は、低い方の金利との差額分を払い過ぎた利息として取り戻すことが可能となったため、多くの人が弁護士や司法書士を通して過払い金請求をすることになったのである。

アコムの売上自体は前期比3%増の2,451億円と伸びているのだが、過払い金の処理により利益を落とした格好だ。

消費者金融にとっては逆風の時代

実は消費者金融市場において、消費者金融各社は逆風に立たされている。過払い金請求だけでなく、改正貸金業法による総量規制というルールが課せられているからだ。

かつて消費者金融市場は貸付残高を伸ばし、多くの人が手軽に借り入れをしたのだが、その結果、破産者申請者が増えることとなり、借金を苦にした自殺者も増加した。

無理な借り過ぎを規制するため、年収の3分の1以上の融資ができないというルールが作られ、消費者金融各社の首元を締め付けた形となった。

一方、近年急成長を遂げているのが銀行カードローンだ。銀行が消費者金融と同質のサービスを低金利で行っている。

ブランド力のある銀行が無担保無保証人のローンを提供したことは消費者金融市場の起爆剤となり、銀行にとっても貴重な収入源となっている。

銀行は総量規制の対象外であるため、消費者金融各社はブランド力のある銀行に対して総量規制のハンディキャップを持ちながら、競合として対峙しなくてはならなくなったのである。

消費者金融の生き残りの道

そのような状況だからといって、銀行がカードローン市場で躍進する姿をただ指をくわえて眺めている消費者金融ではない。

上手にその波に乗っている消費者金融もある。たとえば、ここで紹介しているアコムは銀行の保証会社としての務めを果たしている。

つまり、銀行がカードローンを無担保無保証人で行うことに対して、アコムが貸し倒れリスクを補償しているのである。

銀行はノーリスクで貸付を行うことができる上、アコムは銀行カードローン躍進の恩恵を受けることが可能であるため、本来競合であるはずの両者が協力をして市場活性化に努めているという状況だ。

しかし、その結果、再び破産申請者が増加することとなったため、規制を求める声が盛んに出始めている。

自主規制という逆風到来

銀行カードローンの過熱に対して規制をするべきだという声が増加する中、銀行各社はメガバンクを筆頭に自主規制に乗り出した。

規制を求める声の中には「かつて消費者金融で起きたことの二の舞になる」という声や、「銀行だけ総量規制の対象外であることは不公平だ」という批判があり、それらの批判をかわすために先手を打った格好だ。

審査基準を厳しくすると発表した銀行や、総量規制の基準である年収の3分の1以内の貸し付けを目安にするとした銀行、貸付限度額を減らすとした銀行など、各銀行ごとに自主規制の内容は異なっている。

一方で、ゆうちょ銀行が無担保ローンサービスを開始するというニュースもある。現状の流れに逆行するゆうちょ銀行に対する疑問の声も数多く上がっているようだ。

それぞれに思惑がある中で、消費者金融市場はまた新たな逆風に立たされているといえるかも知れない。今後のニュースに対して敏感にアンテナを張っておく必要があるだろう。

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